溺愛〜ラビリンス〜
「爽!どうした?」
いつもは冷静な渉くんも慌てている。
「爽くん大丈夫?」
どうしよう…食べ物がつっかえたみたいで、苦しそうな表情の爽くんに怖くなる。
「柚大丈夫だ。心配すんな。爽ならすぐいつも通りになる。」
私の心を読んだ翔兄ぃが、手を握って落ちつかせようとしてくれる。
渉くんが背中を擦り、凌くんが水を飲ませ、爽くんは何とか落ち着いたみたいで、フーッっと息を吐き出した。
「お前食い意地張りすぎだろ…良い加減にしろよ!」
健人くんが呆れたように言い放つ。
「健人の言う通りだ。加減して食え!人騒がせな事するな。」
渉くんにも怒られている。
「…良かった。」
私がホッとしてそう言うと翔兄ぃがポンポンと頭に触れた。翔兄ぃに視線を向けると目が合う。
「だから言ったろ?柚がそんなに心配する事ない。爽のそそっかしさは今に始まった事じゃない。」
「翔兄ぃ…」
「ウッ…ハァーッ…あー苦しかった!」
翔兄ぃと話しをしていると、背後で爽くんが息を吐き出してホッとした様子で声を発した。