溺愛〜ラビリンス〜
「爽くん大丈夫?」
振り返り問いかけると爽くんはいつもの調子で返事を返した。
「うん大丈夫。ごめんユズユズ…びっくりさせて…」
すまなそうに目を伏せる爽くんに安心する。
「大丈夫なら良いの。でもお弁当は逃げないから落ちついて食べて?」
爽くんは嬉しそうに返事をしてくれた。
「うん。」
「お前もう食うなよ!人騒がせな奴!」
健人くんが少し怒ったように言う。
「うるさいな!ユズユズが食べて良いって言ってるだろ!」
爽くんすっかり元気になったみたい。健人くんといつもの言い合いが始まった。
渉くんと凌くんは、また始まったか…と呆れ顔で二人の言い合いを見ている。
「ユズ姫うまい!」
数口食べて健人くんが褒めてくれた。
「フフッありがとう。具分かった?」
「うーん…ベーコンと、卵焼き、レタス…チーズも入ってる?」
「フフッ、うん。当たり!私の作るおにぎらずの基本バージョンなの。」
「へぇ…」