溺愛〜ラビリンス〜
せっかくのみんなの気持ちを台無しにしたくなくて、泣き顔を見せないように俯くと隣の翔兄ぃが声をかけてくる。
「柚?どうした?」
翔兄ぃの言葉にみんなの視線が集まっているのを感じる。涙が溢れてしまって、今顔を動かしたら零れ落ちそうで上を向けないでいると、翔兄ぃの手が私の肩にそっと触れられた。
肩の温かさに一粒涙が零れ落ちてしまった。
「柚…」
翔兄ぃの小さい声が聞こえてくる。私はゆっくりと顔を上げると心配そうな表情の翔兄ぃの顔がぼやけて見える。
「どうした?何か嫌だったか?」
とても優しい声音で聞いてくれる翔兄ぃに首を横に振り答える。
「気分が悪くなったか?」
「違うの…」
やっと声を絞り出して答える。
「ならどうして泣いてるんだ?柚が嫌な事があったり辛い事があったりしたら俺が守ってやるし、原因は潰してやる。柚を苦しめる奴がいたら許さない。でも柚が教えてくれないと何もしてやれない…だから何でも言え。」
そう言って翔兄ぃは私を引き寄せて抱きしめた。