溺愛〜ラビリンス〜
「それでもお前等が柚の傍に居ればトラブルが起こる。女達に嫌がらせや口撃を受ける原因を作るな。」
感情的でない冷静な声で翔真が言う。
「それはお兄さんも同じですよね。キングの傍に居る姫って事で、やっかみを受けたり口撃されているのも事実ですよ。」
白王子が言う。
コイツ腹黒か?コイツの方が黒王子じゃないか?白王子の言葉に眉間にシワを寄せる翔真。
まぁ事実ではあるんだけど、お前達のせいでもあるだろ。
「柚はチームの姫だ。お前等はチームの人間じゃない。俺とお前等じゃ立場が違う。」
「それは分かってます。あなたはお兄さんで、僕は柚ちゃんの彼氏になりたいと思っている立場なので違いますよ。」
コイツ!と思った瞬間翔真の拳が白王子の頬にヒットしていた。そのまま倒れる白王子。頬が赤く腫れ上がり、口の中を切った様で血が滲んでいる。白王子は唇を拭って翔真を見上げる。
翔真に言っちゃいけない禁句を言ってしまったんだから仕方ない。
「柚は渡さない。お前等にやる気はない!今度今朝の様な事をして柚を巻き込んだらただじゃおかない。覚悟しておけ!」
翔真は背を向けドアに向かい俺は後を追った。
階段を降りる翔真に追いつくと、翔真が立ち止まった。