溺愛〜ラビリンス〜
爽くんに手を引かれて二人で歩き出すと、後ろから翔兄ぃや渉くんの焦った声が聞こえてくる。
「柚!」
「おい!爽、柚ちゃんを勝手に連れてくな!」
「爽くん…みんなを待ってた方が良いんじゃない?」
「平気、平気!」
本当に平気なの?
爽くんとどんどん歩いてジェットコースターの近くまで来た。
「ユズユズこれまだ乗ってないよね?」
「うん。」
「行こう!」
人気のジェットコースターなので行列ができていたけど、それでも時間帯が良かったのか比較的人が少ない状態で最後尾に並んだ。
「ユズ姫!」
「柚ちゃん。」
声をかけられ振り向くと健人くんと渉くんが近くまで来ていた。
「健人くん、渉くん…ごめんなさい先に来ちゃって。」
「良いんだ。柚ちゃんのせいじゃないから…気にしないで?」
渉くんはそう言うと爽くんに視線を向けた。
「爽!何回言えば分かるんだ!柚ちゃんを勝手に連れてくな!翔真が怒ってるぞ?後で覚悟しとけよ?どうなっても俺達は知らないからな。」
「えっ。わ、渉…脅かすなよ…」