溺愛〜ラビリンス〜

「脅かしてねぇよ。すっげぇ翔真怒ってんだよ!馬鹿爽!」


「誰が馬鹿だよ!健人!」


爽くんは視線を泳がせて、心なしか顔色を変えながら健人くんと言い合いをしている。


「渉くん…翔兄ぃそんなに怒ってるの?」


どうしよう…普段穏やかで優しい翔兄ぃがすごく怒ってる所が想像できないけど…心配になってくるよ…


「柚ちゃん心配しなくても大丈夫だよ。翔真は柚ちゃんに怒ったりしてないから。安心して?」


渉くんがいつもの柔らかな王子様スマイルを見せながら言う。


「渉くん…」


「怒られるのは爽だから…」


「えっ。爽くんだけ怒られるのはダメだよ。私も一緒に行っちゃったんだから…私も怒られる!」


「ゆ、柚ちゃん…それは…ちょっと…無理かな?」


「どうして?爽くんだけなんて可哀想だよ。」


「柚、爽はいくら言っても姫を勝手に連れ回している。もし危険に巻き込む事になったらという事を考えなしにだ。幹部としての自覚が足りないから怒られるんだ。これじゃ下の奴等にも示しがつかないしな…」





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