溺愛〜ラビリンス〜
背後から翔兄ぃの声がして振り向くと、翔兄ぃがすぐそばまで来ていた。
「でも…」
「柚が気にする事じゃない。これはチームの問題だ。」
「翔兄ぃ…」
チームの問題って言われると何も言えないよ…
「爽!」
「はっ、はいっ!」
「今は柚が楽しみにしていた場所だから、柚を優先する…処分は倉庫に帰ってからだ。柚?これに乗るのか?」
ちょっと低い声で爽くんに話してたけど、私に話しかける時はいつもの翔兄ぃの声になった…安心する。
「うん…」
「仕方ないな…気をつけろよ?」
翔兄ぃはそう言うと私の頭に手をやりポンポンとした。
「うん…翔兄ぃ?ありがとう。」
頷く翔兄ぃは背を向け渉くんと何か話し始めた。
「爽くん、翔兄ぃは優しいから謝れば大丈夫だよ。心配しないで。」
「ハァ…翔真を優しいなんて言うのはユズユズだけだよ。でも大丈夫、何とかする。さ、今は楽しもう!」
「フフッ…爽くんたら。」
爽くんは翔兄ぃが本当に怖いらしい。
でも基本的に何事にも前向きで楽観的に物事を捉え、明るい爽くんはやっぱりこんな時でも元気だ。