溺愛〜ラビリンス〜
「悠斗ダメだよ?お姫様の事ばっか考えてちゃ。授業には集中しなきゃ!」
おちゃらけてからかい半分に言ってくる大輝の頭をパコンとノートで叩く龍也。
「お前が言うな!授業に集中なんかした事ないだろうが。」
「ひっでぇな龍也!俺だってたまにはちゃんと授業を受ける事位あるよ。」
たまにかよ… まったく。俺と龍也の白い目を気にする事もなくマイペースな大輝。
「悠斗だってお前にだけは言われたくないんだよ。バーカ!」
まったくだ。こんなお調子者に注意されたくない…
俺の表情を見て思考を読んだのか大輝は拗ねた様子で
「ひでぇ!」
を連発した。
「龍也悪かったな。」
煩い大輝は放っておいて龍也に話しかける。
「気にすんな。」
「あぁ…サンキュー。」
龍也との短い会話を終えて席を立つ。
「悠斗どこ行くの?」
大輝は相手にされなくても気にする事なく話しかけてくる。
「次サボる。ついて来なくて良いからな。」
そう二人に言い残し教室を出た。休み時間で人気の多い廊下を歩き進んで行く。