溺愛〜ラビリンス〜
キングと姫

坂本 悠斗 side


パタンとドアが閉まる音が聞こえ、翔真は屋上から出て行った。


俺と翔真は同い年じゃないが一応幼なじみだ。一応と言うのはガキの頃から仲が良いわけじゃなかったからだ。


原因は柚だ。俺と翔真の間にはいつも柚が居る。俺もアイツも柚中心に全てが回っているから、似た者同志でお互いが気に入らない。これはガキの頃から続く俺達の因縁みたいなものだ。
お互いに気に入らないが痛い程相手の気持ちが分かってしまう。近くて遠い存在だ。


さっきの翔真の言葉は正直、胸に刺さった。


「それでもお前等が柚の傍に居ればトラブルが起こる。女達に嫌がらせや口撃を受ける原因を作るな。」


「柚はチームの姫だ。お前等はチームの人間じゃない。俺とお前等じゃ立場が違う。」


柚に危害を加える奴は見逃せない。柚を思っての事なのも痛い程分かる。

でも柚を諦める事も傍にいられない事も何にもかも無理だ。柚が居なきゃ俺の人生は何にもないのと一緒だ。どうしても無理だ…ジレンマで胸が苦しい全身が痛い。





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