溺愛〜ラビリンス〜
三浦 翔真side
柚と遊園地に行ってから最初の登校日の月曜日。
今日も一緒に登校している。俺の隣にいる柚は、車が学校が近くなると落ち着かない様子になった。恐らく遊園地のお土産を親友達や悠斗に渡す事を想像して、ソワソワしているんだろう。
考えてみれば柚を籠の中のお姫様にしてきたつもりはないが、今まであんな風に出かけてはしゃいだり、友達の為にお土産を選んだり、それを渡すという経験は初めてだったかもしれない。
柚をそんな窮屈な立場にしたのは俺なんだと思うと、柚に可哀想な事をしたと反省してしまう。
昨夜もリビングのテーブルにお揃いで買ったお土産を置き、「これは亜莉沙の、こっちは有希の…」とはしゃいでいた。
俺が残る袋を見て「これは誰のだ?」と聞いた時嬉しそうに「ゆうくんの!」と言った柚の笑顔を見て、悠斗に嫉妬してしまったのは誰にも言えない秘密だ。
車が校門の前で停まった。そこで警備している親衛隊の奴が挨拶をしながらドアを開ける。
「おはようございます!」
まず俺が外に出る。続いて車の中の柚に手を差し伸べる。柚がその手をとり外へと出て俺の隣に立つと、校門前で警備をし待っていた親衛隊の奴等が揃って挨拶をしてくる。