溺愛〜ラビリンス〜
「「「「「おはようございます!」」」」」
「おはようみんな。今日もよろしくお願いします。」
「「「「「はい!」」」」」
毎朝の光景だが、柚がペコリと親衛隊に頭を下げ笑顔で挨拶を返し、親衛隊の奴等はそれに恐縮したり、困惑した表情をしながら返事をする。
そんな朝の風景を終え渉達と校庭を歩く。バイクを駐輪場に置いてきた特攻隊の健人達も合流する。
玄関にたどり着くと悠斗が立っていた。柚を待っていたようだ。
「おはようゆうくん。」
笑顔で悠斗に近づいて行く柚に、行くなと引き止めたい衝動に少しだけ駆られたがぐっとこらえた。
「柚ここで大丈夫か?」
「うん。みんなありがとう。じゃあね!」
笑顔で手を振る柚から視線を悠斗に移した。
「悠斗…柚の事頼む。」
「……あぁ。」
悠斗は返事をすると背を向けた。
「柚ちゃんまたねー!」
渉が手を振ると柚も手を振り悠斗と廊下を歩いて行く。二人の後ろ姿を見送り、自分の下駄箱へ向かうと背後から爽の声がする。
「あーあ仲良く歩いてるねー。あー手を繋いだ!」