溺愛〜ラビリンス〜
バン!!!
俺は無意識に下駄箱を殴りつけていた。
「ヒッ!」
爽が悲鳴を上げる。
「おいおい…翔真らしくないぞ?爽もふざけるな!」
渉が慌てたようにその場を取りなす。
「そうだ。バーカ!」
健人が爽の後頭部をポカリと叩いた。
「イッテェ!」
爽が頭を抱えて痛がる。
「自業自得だ。ユズ姫と黒王子は手なんか繋いでないだろうが!冗談でも言うな。おふざけが過ぎるぞ?」
凌が爽に説教を始める。そんな声も遠くに聞こえ耳に入らない。
「翔真どうした?今日は機嫌悪いな?」
渉が心配そうに聞いてくる。
「悪い…。」
それだけ言って廊下を歩き始める。そのまま教室に行く気分にはなれず、フケる事にした。溜まり場の第二音楽室か屋上のどちらに行くか考える。いつもなら必ず渉や他の幹部誰かがついてくるが、俺の気持ちを察してか誰もついて来ない。
イライラしているからタバコが吸いたい…なら屋上だな…と結論付け屋上へと向かった。