溺愛〜ラビリンス〜
柚が悠斗を選んで正気でいられるだろうか?あーダメだ。今日はとても通常通りにできそうにない…
俺は授業に出るのを早々に諦めその場に座りこんだ。
柚はもうお土産を悠斗に渡したんだろうか?受け取った悠斗はどう思ったろう?二人はどんな会話をしている?
もし……俺が悠斗だったら…お土産を柚からもらって嬉しいが、それより柚と出かけた事を羨ましく思うか?そう考えるとさっきまでの悠斗への嫉妬の感情が晴れ優越感を感じる。
あれこれと考えを廻らし悠斗の奴は絶対に柚デートに誘うだろうと確信のような予感を感じた。
きっとそうなれば正面切って許可を求めてくるだろうな…アイツは……
一時限目の授業が終わって、休み時間になり校舎内がにぎやかになった。
屋上のドアが開く音がしドアの方を見る。
「なんだ……渉か。」
開いたドアから姿を現したのは渉だった。
「やっぱりここだったか…授業に出ないから心配したぞ?」
「……そうか…悪い。」