溺愛〜ラビリンス〜
「フッ冗談だろう。ウザイだけだ。それに柚以外の女は気持ち悪い。」
「…そうだな。」
お互い柚以外、眼中にない。まったく俺達はずっと変わらない。
「…何の用だ?」
どうせ柚の事だと分かっているが、悠斗に要件を言うように促した。
「…頼みがある。」
「頼み?」
悠斗の言葉に嫌な予感しかしなくて眉間にシワが寄る。
「柚と二人で外出したい。不本意だが、お前に許可を貰わない訳にいかねぇからな?」
悠斗の表情は真剣で、眉間にシワが寄っている。悠斗なりに覚悟を決めてここに来たんだろう。
「…外出?……どこへ行くんだ?」
声が低くなったのが自分で分かった。
「…まだ柚と話し合ってないから決めてないが、柚が喜びそうな所にしようと思ってる。」
柚の好きな所か……俺が遊園地を選んだ時そうだったように、柚が喜ぶ場所に連れて行きたいんだろう。
「…そうか。」
俺はそれだけ言って口をつぐんだ。