溺愛〜ラビリンス〜


「翔真…俺は今まで柚の気持ちを優先してきた。今でも柚の気持ちは大事にしてやりたい。でもいつまでもガキの頃のままじゃいられねぇからな…一つの区切りをつけたいと思っている。」


悠斗は今回のデートで思いをぶつけ、柚に結論を出させるつもりだ。思わず息を飲んでしまう。俺が踏み込めずにいる最後の山を乗り越える決意したんだ。先を越されたような気持ちになる。


「…そうか……柚が行きたいなら俺は黙認する。好きにしろ。ただし…分かっていると思うが、柚を危険な目に合わせたり怪我をさせたりするなよ?」


「あぁ…分かってる。」


「なら良い。柚の事、頼む。」


「あぁ…翔真サンキュー。」


悠斗はタバコを消し背を向け歩き出した。そのうしろ姿を見送りながら、先を越された様な敗北感に似た気分になった。


「悠斗。」


声をかけると悠斗が振り向く。


「翔真?」


待っても話し始めない俺を訝しげな顔で悠斗が問いかける。俺は我に返り燻った気持ちをぶつけた。





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