溺愛〜ラビリンス〜
いつもの白王子の雰囲気を感じられない冷たい視線でゆうくんを睨むあつくん。
あつくんがゆうくんを「坂本くん」て呼ぶ時は怒っている時なんだよね。
「柚は俺のものだ。触るな。」
にらみ返すゆうくん。
「いつから柚ちゃんが君のものになったんだ?彼女は僕のものだ!君には渡さない!」
どんどんヒートアップして行く二人の会話に、居たたまれない気持ちで逃げ出したい。
廊下だし、周りにはそれなりに人がいて、更に騒ぎを知り廊下に出てくる人もいて騒ぎが余計に大きくなっちゃう!どうすればいいの?
「ちょっと、あなた達いい加減にしなさいよ!廊下で言い合いして、柚を困らせてるのが分かんないの?」
怒りを含んだ声が聞こえてくる。
教室から騒ぎを聞き廊下に出てきた小学校以来の親友、上森亜莉沙(うえもりありさ)だった。
亜莉沙はちょっと男嫌いな所があり、男子にかなり辛辣な事をハッキリ言うけど、私が男子に絡まれたり話しかけられて困っていたり、女子から嫌がらせや口撃を受けていると、いつも助けてくれるとても頼りになる親友。