溺愛〜ラビリンス〜
「……良いのか?今このタイミングで…あんな事があった後だ…柚が完全に乗り越えるまでもう少し時間を置いてからの方が良いと思わないのか?」
俺の言葉に悠斗は少し驚いた表情をしたが、すぐ迷いがないと分かる強い眼差しを向ける。
「…そうだな。考えなくもなかったが……俺達の関係はバランスが崩れたんだ。それはお前だって気づいているだろ?それに…柚自身も今回の事で精神的に成長しただろ。今がターニングポイントだと思う。」
「あぁ……確かに柚は精神的に強くなった。今までのように何も知らずただ俺達に守られているお姫様じゃなく、自分自身の事をしっかり考えられるようになったのかもな…」
「あぁ…」
「ハァ…分かった。お前も考えた上での結論なんだろう。好きなようにしろ。」
もう何も言えない…確かに悠斗に先を越されたな……ここから先どうなるかは柚の気持ち次第。
「翔真。お前はどうするんだ?まだ兄貴としての立ち位置で見守るつもりか?」
悠斗の問いに俺は宣戦布告のつもりではっきりと本音を告げる。絶対に悠斗に負けるつもりはない。