溺愛〜ラビリンス〜

大袈裟に聞こえるかもしれないが、俺も悠斗も柚を失うって事は今までの過去を……人生を失う事と同じだ。それ位俺達の思い出の中には柚がいた。そしてガキの頃から柚を手に入れる事だけを望んできたんだ、これから先の未来が閉ざされたも同然だ。柚は俺等にとってそれだけ唯一無二の大きな存在なんだ。だからこれから先のどんな賭や戦いに負けても構わないからこの勝負だけは負けられない。負けたくない。多分悠斗も同じ気持ちだろう。


「……まぁお互いガキの頃からの思いだ、簡単に引けねぇよな?悠斗、柚を泣かせたり苦しめたりするような事はするなよ?」


「あぁ…じゃあな…」


「…引き止めて悪かったな。」


悠斗が去った屋上で一つため息をつく。


悠斗が動き出した今、柚の結論が出る日も近い。 柚はどんな結論を出すのか……





悠斗が出て行って少しするとドアが開いた。

悠斗が戻って来たのかとドアの方を見ると現れたのは渉だった。



こちらに向かって歩いてくる渉は明るい声で話しかけてくる。





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