溺愛〜ラビリンス〜

「お疲れさん。どうだった、悠斗の宣戦布告に負けないように応戦できたか?」


そう言って笑う渉に舌打ちをした。


「チッ。」


どうせ何もかも分かっていて俺をここで一人にしたんだろう。そしてタイミングを見計らって現れたって所か…
チームを支える存在としては言う事ない奴だが、今回のように一人になりたい時には嫌な奴だと思う。


「…何の用だ?」


俺が眉間に皺を寄せ不機嫌全開で聞く。


「うーん…別に用はないんだけどね……」


チッ……用がないなら来るな!イライラが増して渉を睨みつける。


「用がないなら一人にしてくれ。」


「うーん、用はないけど話しはあるかな?」


ニッコリといつもの女共がキャーキャー騒ぐ『王子様スマイル』とやらを俺に向けた。俺にその笑顔をしても何の効果もないがな…気持ち悪いから止めろと、うんざりした気持ちになりながら口を開く。


「……何だ?」


「翔真、悠斗は本気で柚ちゃんにぶつかって行くぞ。今までのように曖昧な接し方じゃないぞ?」


「あぁ……」




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