溺愛〜ラビリンス〜
「…お前も悠斗も俺にとって幼馴染みだけど、俺は今までもこれからもお前の味方だ。翔真、悠斗はお前に宣戦布告したんだお前も本気だせ。負けんなよ?」
「渉……」
「お前は柚ちゃんなしじゃ生きて行けないからな?生きる屍になるのは目に見えている…そんな奴の面倒みさせられるのはご免だ。さっさと柚ちゃんを捕まえろ!そして俺を安心させてくれ。」
半分おちゃらけながら言う渉は、本心で心配していて応援してくれているのが分かった。
「ハーッ……お前の為にっていうのが気に入らないが……当然、柚は誰にも譲らない。例え悠斗であってもな?」
「クッククッ……お前、少しはいつも面倒みている俺の事を労れよ!ったく、こきつかわれてばかりで俺が可哀想だろ?」
可笑しそうに笑いながら髪をかきあげ言う渉は多分今、俺と二人きりだからこんなおちゃらけた軽口を叩いている。
総長と副総長という立場から、チームの奴等の前でこんな風に会話はしないから、今は幼馴染みとして言っているって事なんだろう。渉にはあらゆる意味で助けてもらっている。俺の中では借りが有りすぎて頭が上がらない存在だ。