溺愛〜ラビリンス〜
そして渉は副総長としてある意味、俺以上にチームの為に陰に日向にといつも尽力してくれている。チームにこいつがいなくなったら大変な事になるだろう。それはチームの誰もが暗黙の内に理解し感謝している事だ。勿論、俺も口に出して言わないが渉には副総長として、そして何よりガキの頃からの長い付き合いの親友としていつも助けてもらって感謝している。
「ま、その様子なら大丈夫だな?」
「なんだお前心配して来たのか?」
「当然でしょ。柚ちゃんの事になると打たれ弱いからな…うちの総長さんは……」
「チッ……」
俺が否定をできず、渉を睨むと渉はニヤリと笑った。
「まぁまぁ、悠斗も本気だし翔真も頑張れー!俺がついてるぞ!」
「ふざけんな!」
俺がキレると渉はアハハと笑っってドアの方へ向かう。
「翔真くん怖いよ?そんなんじゃモテないよ?柚ちゃんに嫌われちゃっても知らないからー」
更に俺をからかう言葉を残し、渉は屋上から消えて行った。
「ったく、あいつは…何なんだ。ハーッ……疲れる。」
俺はもう一本煙草を取り出し火をつけた。
今日はきっと厄日だな。そんな事を考えながら、今日は一日授業はパスする事に決めた。