溺愛〜ラビリンス〜
三浦 柚姫 side
朝以降、ゆうくんも翔兄ぃもチームのみんなも教室に来る事はなく、今日は静かで平和な一日が過ぎて行った。
授業が終わって亜莉沙達と帰りの支度をしていると廊下が騒がしくなった。
「ハァ……誰だと思う?」
亜莉沙が有希に聞く。私もだけど、亜莉沙達も経験上何が起こっているか何となく分かっているのでそれだけで通じてしまう。
だいたい翔兄ぃや渉くん達幹部やゆうくんが現れるとこんな感じなんだよね。
「ウーン翔真さんかな?」
有希がいつも通りのんびりした雰囲気で返事をする。
「そうね……でも」
亜莉沙が次の言葉を発する前に教室のドアがガラッと大きな音を立て開いた。
そこに居たのはゆうくんだった。
「柚…」
ゆうくんに名前を呼ばれ視線が合う。ゆうくんの方へ近づくと回りから「キャー」と言う声が教室内からも廊下からも聞こえる。
「ゆうくんどうしたの?」
女の子達の黄色い声を無視して、近づくとゆうくんがフッと表情を緩めた。今日は機嫌が良いのかな?
「今朝の話しだけどな…翔真の許可は取ったから。」
「えっ?」