溺愛〜ラビリンス〜
思わず大きな声を上げてしまった。だって…ゆうくんと翔兄ぃって、水と油みたいに合わなくて昔から話しもろくにしないのに……話ししたって…いつの間に?
私が疑問に思っていると思考を読んだようにゆうくんが話しを続ける。
「別に揉めたりしてないからな?ちゃんと話しをして翔真も了承した。」
「本当?」
「あぁ……」
「ゆうくんありがとう。私も翔兄ぃと話しするけど、先にゆうくんが話ししてくれてちょっとホッとした…」
私が本音を言うとゆうくんはフッと笑って私の頭を撫でた。
「そうか……柚は何も心配する必要ないからな?」
ゆうくんは本当に優しい。不器用で取っ付き難く見えるけど温かく優しい人だ。幼馴染みの私は小さい頃からその事を知っている。
「柚?」
私が考え事をしてしまったので心配そうにゆうくんが顔を覗きこんでくる。
「あっ、ごめんなさい…翔兄ぃの許可出たからどこに行こうかなって考えてたの。」
ゆうくんに心配かけないようにそう言って笑った。
「そうか…行きたい所があるなら言えよ。」
とても優しい瞳で私を見つめながら言うゆうくんに少し頬が熱くなった。