溺愛〜ラビリンス〜
「何だアイツ……ユズユズ変な事されなかった?」
爽くんがゆうくんの後ろ姿を睨みながら聞いてくる。
「えっ、大丈夫だよ?」
「ふーん。ねぇ何話してたの?」
じっと私の事を見つめて聞いてくる爽くんの目は、少しだけ心配の色が浮かんでいる。
「……あのね…今度ゆうくんとお出かけするから行き先を決めてたの。」
「黒王子と出かけるの!?」
「…う、うん。」
「……翔真は知ってるの?」
「うん…ゆうくんが話したって言ってたからもう知ってるよ。私もこれから直接話そうと思っているけど……」
爽くんは私の説明に一瞬驚いた表情してからため息を吐いた。
「ハァ…そうか……じゃあ行こうか?あまり遅いと翔真が心配する。」
爽くんは私の鞄を持つと歩き出す。
「うん。」
廊下に出ると親衛隊の子が二人待っていた。
「待たせてごめんなさい。」
私が声をかけるとびっくりした表情をした。
「とんでもないです!気にしないで下さい。」
みんなに恐縮されてしまったので、それ以上言うのはやめた。