溺愛〜ラビリンス〜
「そうなの?」
翔兄ぃは昔からいつだって優しいのに…何でそんな事言うのか、爽くんの言っている事はイマイチ分からない。
校門の所には車が停まっていて翔兄ぃと渉くんが待っていた。
「お待たせ!」
爽くんが二人に声をかけたので、私も二人に話しかける。
「二人共待たせてごめんなさい。」
翔兄ぃがこちらを見ると、少し口角が上がって微笑みながら私に話しかけてくる。
「柚、今日は何もなかったか?」
本当に翔兄ぃは心配症だと思う。私は翔兄ぃが安心するように笑顔で返事をした。
「うん…大丈夫だよ。」
「そうか…」
私が答えると翔兄ぃは、安心したように微笑みながら私の頭を撫でてくれた。私はいつも撫でてくれる翔兄ぃの手が好きだ。心地良くて幸せな気分になる。
そんな事を思いながらじっと翔兄ぃに頭を撫でられていると、背後から渉くんが咳払いをして話しかけてくる。
「二人共続きは車の中でにしようか?みんなが見ているからね?あてられるのは、一緒に車に乗る俺だけで良いでしょ?」