溺愛〜ラビリンス〜
翔兄ぃの言葉に衝撃を受けて、呆然とする。
「柚…別に悪い事をした訳じゃない。それに柚が俺の事を男として見てくれているなら俺は凄く嬉しい。」
翔兄ぃはそう言うと、私の手をギュッと握りしめて笑顔を向けた。
もう止めてよ……違うのに……私の顔は今、真っ赤だと思う。
渉くんの言葉を合図に車が動き出した。私は気持ちを落ち着かせて話題を変える。
「翔兄ぃ…あのね、ゆうくんと今度外出したいの……良いかな?」
翔兄ぃの動きが一瞬止まる。
「翔兄ぃ?」
「……悠斗から話しは聞いた。柚が行きたいなら良い。」
「翔兄ぃありがとう。」
私は心配していた翔兄ぃの反対がなく許可が出た事にホッとして嬉しくなる。
「あのね、ゆうくんと話し合って水族館に行く事にしたの。」
「水族館?」
「うん。この前行った遊園地も凄く行きたかった場所なんだけど、水族館もずっと行きたかったんだ。」
「……そうか。良かったな?」
「うん!翔兄ぃありがとう。」
私がそう言うと翔兄ぃは頭を撫でてくれる。
「楽しんでこい。」
翔兄ぃはやっぱり優しい。翔兄ぃの手の温かさを感じながら改めて思った。