溺愛〜ラビリンス〜
「「アハハ……」」
「誰がユズユズのおやつ狙うんだよ!」
不機嫌な声のする方を見ると、ドアが開き爽が怒った顔で立っている。
「爽、早かったな…」
「ふん。」
爽は渉が声をかけても機嫌悪くソッポを向く。
「ゴメンゴメン。ついいつもの爽の行動から柚ちゃんのおやつの心配をしただけだから……」
渉がフォローするように言い訳をするが、フォローになってない気がする。
「余計に失礼だろう!」
「仕方ないだろうが!事実なんだから。事実を言われてそんな怒んなよ……」
健人が爽の背後から言う。
「爽くん、私は爽くんの事そんな風に思ってないから。怒らないで?」
ユズ姫が不安そうな表情で取りなす。
「おい下らない事で揉めんな!柚を心配させるような事すんじゃねぇ!」
翔真が不機嫌全開で怒鳴る。
「翔兄ぃ…私は大丈夫だから。」
翔真の不機嫌さにユズ姫がおろおろしている。
「翔真。」
渉が少し低い声でいい加減にしろと伝えている。察した翔真はユズ姫を見て、表情を崩しユズ姫の頭を撫でる。