溺愛〜ラビリンス〜

だから総長室はある意味、翔真よりユズ姫の方がいる時間が長いかもしれない。


ユズ姫が消えた部屋に渉の声が響く。


「翔真、悠斗と柚ちゃんがデートするのが気にいらないなら許可しなきゃ良いだろ?」


「「えっ!」」


俺と健人の声がハモった。

黒王子とユズ姫がデート?何でそんな事になったんだ?


「驚くよね……しかも黒王子が翔真に頼みに来たんだって……」


爽の言葉に更に驚く。


「それで翔真は許可したのか?」


健人が納得いかない様子で聞く。


「……あぁ。」


「どうしてだよ?」


「……悠斗は今度のデートで決着をつけるつもりだ。本気を出してぶつかろうとしている奴の邪魔はできねぇだろ?」


翔真はそう言って煙草を出す。でも俺等のルールで幹部室や総長室はユズ姫の為に禁煙と決まっている。翔真はそれを忘れる位苛ついているんだろう。でも思いとどまって煙草をしまい舌打ちをする。


「そんなに苛々してんなら許可なんてしなきゃ良かったのに。」


爽がため息交じりに言うと、渉が翔真の気持ちを代弁するように言う。





< 419 / 671 >

この作品をシェア

pagetop