溺愛〜ラビリンス〜
鷹宮 淳稀 side
キングが僕を殴り屋上を出て行った。静まりかえる屋上。
僕は本音を言えば、キングが苦手だしキライだ。キングの柚ちゃんを見る目は男としての目だ。
誰より近くて誰より昔から長く傍に居て柚ちゃんの事を見て来たあの人にはかなわない様な気持ちさせられる。
僕は日本でトップ10に入る鷹宮コーポレーションの跡取りという事もあり、小さい頃から手に入らないものはなかった。
そんな時、小学校に入学して柚ちゃんに出逢った。
入学式の日、両親に手を引かれ校庭を歩く柚ちゃんはとても可愛いくて周りから注目を浴びていた。
笑顔で両親と話しをしながら歩く柚ちゃんはみんなの視線を全く気にしてなくて、いや違う…気づいていない様だった。
ふと何かに気づいて柚ちゃんが立ち止まった。
そして笑顔で呼び掛ける。
「お兄ちゃん。」
柚ちゃんの視線を辿ると、そこに明らかに新入生ではない男の子が居た。
「柚!」
その男の子も笑顔で柚ちゃんの名前を呼び柚ちゃんの方へ近づいて行く。