溺愛〜ラビリンス〜

「それが出来れば翔真だって悩まないよ……翔真の性格でそれができないから苛ついてるんだよ。でも柚ちゃんのいる所では苛つくのはやめろよ?あれじゃ柚ちゃんが可哀想だろ…」


「…あぁ……分かってる気をつける。」


翔真の言葉にホッとした様子の渉は真面目な表情をする。


「悠斗の想いに柚ちゃんはどう応えるのかな……」


部屋が静まり返る。

ちなみに幹部室も総長室もそれぞれ防音になっているから、総長室のドアが閉じられているので俺達の会話はユズ姫には聞こえていない。


「……そうだな。もし柚が悠斗の想いに応えたとしたら……」


翔真の言葉にみんなが息を飲む。


「俺は…黙ってそれを見ていられるか分からない……悪あがきして、柚にすがるかもしれないな……」


「……翔真……。」


渉の声を遮り翔真は立ち上がりドアへ向かう。

ドアの前で翔真は振り返らないまま立ち止まった。


「煙草吸ってくる。」


そう言い残すと部屋を出て行った。
翔真が出て行くとみんながため息を吐く。


「良いのかよこのままで……」


健人が心配そうに呟く。




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