溺愛〜ラビリンス〜
そして……柚と悠斗のデートの日程も決まり、柚は嬉しそうにしていた。
そんな柚を見て、やはり俺は不安や嫉妬が心の中に渦巻き落ち着かない日を送っていた。
いよいよデートの日がやってきた。
柚は笑顔で朝食を食べ終えて、悠斗が向かえに来るのを待っていた。
少しするとチャイムが鳴った。
俺は玄関に向かい悠斗と挨拶を交わす柚を見ながら、じっとどす黒い感情を耐える。
「気をつけて行ってらっしゃい。」
母さんが二人に声をかけると柚は元気に挨拶する。
「はーい。行ってきます!」
「行ってきます。」
悠斗も母さんに挨拶する。
「……危ない事すんなよ?」
俺は柚に声をかける。
「大丈夫だよ。」
「迷子になるなよ?もしなったらすぐに電話しろ。」
「もう!翔兄ぃ。私、子どもじゃないんだからね!迷子になんかなりません。」
頬をプッと膨らませ怒りながら言う柚はやはり可愛い。
「翔兄ぃ聞いてるの?お土産買って来てあげないから!」