溺愛〜ラビリンス〜

「翔真!」


「止めろよ…」


頭を下げた俺の行動に焦ったように凌や健人が声をあげる。


「翔真…気持ちは伝わったし、分かるけど…そんな翔真らしくなくて怖いぞ?」


爽が言った言葉に渉が吹き出す。


「…おい。」


俺が不機嫌な声を出すと渉が真顔で謝る。


「ゴメン、ゴメンみんな照れてんだよ…」


「…そうか……」


夕暮れが色濃くなっていく景色を眺めながら、煙草に火をつける。


倣うように渉や健人が煙草を出す。


「翔真…この景色と同じで俺達の友情も変わらない。この先どんな事があっても、俺達は翔真の味方だ。総長の支えになれるように努力するから俺達の事を頼れ?」


「凌…」


「そうだ。みんながついてる。」


「爽、お前が頼りになるのか?」


横から健人が口を割り込む。


「何だと!俺が頼りにならないっていうのかよ!」


また始まったか……


「ハァ……」


「健人も爽も止めろ。」


煙草の煙りを吐きながら渉が仲裁する。いつものパターンだ。




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