溺愛〜ラビリンス〜
「ったく、お前達はいつもいつも……少しは情緒ってもんがないのか?」
「渉、コイツらにそんな事求めても無理だろ?」
凌が煙草の煙りを吐きながら渉に言う。
「ハァ…そうだな。」
渉もうんざりしたように答える。
「爽と一緒にすんな!」
二人の言葉に反論するように健人が叫ぶ。
「……何だよ!さっきからひどくないか?」
爽も口を尖らせみんなに視線を向ける。
「そう言われたくなかったら、もっと落ち着いた行動をしろ。」
渉が爽に説教をする。
「そうだぞ爽。俺達幹部がイメージを損なう事をすれば、ブラックホークスのイメージダウンにもなる。」
凌も説教を始める。ちょっと爽が可哀想かと思って口を挟んだ。
「……もう良いだろ?爽、気持ちは伝わった。」
俺の言葉に爽が目をキラキラさせてこちらを見る。まるで犬だな…
煙草を消し、もう一度街並みを眺めてから背を向ける。
「戻るぞ?」
俺の言葉にみんな頷き、まだ火がついていた健人と凌が煙草を消した。