溺愛〜ラビリンス〜
誰だ?何故柚ちゃんと親しそうなんだ?
近づく柚ちゃんを無表情で見つめる悠斗は、柚ちゃんから視線を離さない。アイツも柚ちゃんの事を好きなのか?初めて心に黒いものが広がる。
間近に来た柚ちゃんを一瞬優しい目で見た悠斗に駆け出して今すぐ二人を引き離したい。そんな気持ちをぐっと堪えて、これからどうやって柚ちゃんに近づくかを考えていた。
いつかあの笑顔を僕に向けてもらえる様に僕だけに向けてもらえる様に… 二人を見ながら心に誓った。
その時悠斗が柚ちゃんの頭を撫でた。嬉しそうな表情で見つめ合う二人を立ち尽くして見ていた。
後から知ったが二人は幼なじみだった。悠斗と柚ちゃんは席は離れていたが、休み時間に悠斗の席に柚ちゃんが行く事が多かった。
僕と柚ちゃんは比較的席が近く、何とか近づこうと柚ちゃんが悠斗の席に行く前に話しかけた。
柚ちゃんが僕に話しかけてくれる様になったのは入学式から1ヶ月位した頃だった。
それからは少しでも彼女に近づける様に努力した。悠斗より近くにいたい。悠斗でなく僕に微笑んで欲しい。 僕だけを見て欲しい。思いは膨れ上がるばかりだった。