溺愛〜ラビリンス〜
「森、柚が困惑している。あんまり仰々しくすんな。柚がリラックスできるように自然に話してやれ。名前呼ぶのも許す。」
何で?森さんが私の名前呼ぶのにゆうくんが許可するの?私が首を傾げていると、森さんがゆうくんに返事をしてから私に視線を向けて声をかけてきた。
「は、はい。分かりました。じゃあ、柚さん…と呼ばせてもらいます。良いですか?」
「はい。お願いします。」
「じゃあ車出しますね。」
森さんはそう言うと前を向き車を発進させた。
取り敢えず森さんが名前を呼んでくれるというので返事をしたけど、ゆうくんの発言が納得いかない。私は疑問をぶつけた。
「ねぇ…ゆうくん?」
「あ?」
「何で森さんはゆうくんが許可しないと私の名前呼ばないの?」
「いッ?」
「ブッ!」
運転席から奇声が、助手席から吹き出した笑い声が聞えた。ビックリしていると、助手席からヒョコッと龍也くんが顔を出した。
「柚ちゃんお早う。」
「あっ…お早うございます……」