溺愛〜ラビリンス〜
気がつくと車は見慣れた街並みを離れ、水族館のある街へと差し掛かっていた。
窓に寄って景色をじっと見る。振り返り視線をゆうくんに向けた。
「ゆうくん?今日行く水族館行った事ある?」
話題を変える為に何となく聞いたんだけど…ゆうくんが急に不機嫌になった。
「あ?…俺が一人でそんな所行くと思うか?」
「ブッ…」
「龍也くん?」
何で笑うの?
「ゴメン。悠斗が一人で水族館て…想像したらおかしくて…」
そうかな?
「ゆうくん、別に一人じゃなくて誰かとデートとかで来たりとか…」
「ねぇよ!」
「ブッ!」
ゆうくんは私の言葉を最後まで聞かず急に否定するし、龍也くんはまた笑ってるよ…何故?
「あの……」
「柚ちゃん…悠斗が柚ちゃん以外の女とデートって……ある意味恐いよ?」
そうなの?
「あー、柚?俺は柚以外の女が傍に近づいてくるのもうざくて嫌なんだ。そんな気持ちワリィ事わざわざしねぇよ…」