溺愛〜ラビリンス〜
そして一学期の終業式、柚ちゃんと悠斗が夏休みに遊ぶ約束をしているのを耳にしてしまう。まだまだだ。悠斗に勝っていない。
話しの様子から柚ちゃんの母親と悠斗の母親はとても仲が良いらしい。
親まで絡んでいるとは… 悠斗の恵まれた環境をに嫉妬した。
どうして僕が悠斗じゃないんだ?生まれた頃から一緒なんて…どうやって悠斗と戦えば勝てる?焦る気持ちを抑え考えて柚ちゃんに近づく。
「柚ちゃん。」
声をかければ笑顔で僕を見る。
「あっ、鷹宮くん。どうしたの?」
可愛いらしく首を傾げて僕を見る柚ちゃん。
「夏休みプールがある日一緒に勉強しない?」
僕が聞くと少し考えてからニッコリ笑って答えてくれる柚ちゃん。
「いいよ。だけどお兄ちゃんがプールしてる間だけしか無理だよ。私プールは行きも帰りもお兄ちゃんと一緒だから。」
今度はお兄ちゃんが邪魔するのか…そう思いながら仕方なく笑顔で話す。
「そうなんだ。いいよ、それで。じぁ、プールの後学校の図書室で勉強しよう。」
「うん。」
何とか夏休みに接点を持ててホッとした。