溺愛〜ラビリンス〜
「……あの…若……どこに向かえば……」
森さんが遠慮気味に聞いてくる。
「………パークホテルに着けてくれ……」
ゆうくんがそう言うと二人が息を飲んだのが分かった。
「……アッ、はい…分かりました!」
森さんはゆうくんの言葉に驚いた感じだったけど、そう返事をして車を出した。
目的地に向かう間、車内は水を打ったように静かだった。
パークホテルは今日行った水族館の近くに併設されていて、人気のあるお洒落なシティホテルだ。
さっき来た道をまた戻り水族館へと向かう。
楽しかった水族館での出来事は、まだ数時間前の事なのにさっきとは、私もゆうくんも全然テンションも二人の間の空気も何もかもが変わってしまって凄く昔のような気がする。そうしたのは私なんだ……凄い罪悪感に苛まれる。
隣に座るゆうくんをチラッと見ると、静かに目を閉じて身動きもしない。
寝ちゃったのかな?そんな事を思っているとゆうくんが目を開けてチラッと私を見た。