溺愛〜ラビリンス〜
視線が合うとゆうくんは微かに微笑み、すぐ視線を反らし車窓へと向けてしまった。
私もどこを見ていたら良いのか分からず、車窓へ視線を移した。
景色はだいぶ水族館に近づいて来ていた。
緩やかなカーブを走り車は水族館へと向かう。遠くに見える水族館の建物に後数分で目的地に到着する事が分かった。
「柚……最後の確認だ。良いのか?俺の事なんて考えずに自分の気持ちだけを大事にしたって俺はお前の事を恨んだりしないぞ?」
「ゆうくん……でも心の整理出来なくて苦しむでしょ?」
「……」
「ゆうくんがこのまま幸せな人生を歩んでいけるなら良いの。でも……ゆうくんはきっとこのままじゃ私に囚われているでしょ?私がゆうくんにしてあげられる事はこれ位……今までゆうくんが私を守ってくれたり助けてくれたりした事を思うと、私ってゆうくんに何も返せない。今までゆうくんを困らせたり傷つけるだけだったような気がする。私……これ以上ゆうくんを傷つけたり苦しめたくない。」
「柚……」