溺愛〜ラビリンス〜
「ゆうくんが頼んで来た事が簡単に頷ける事じゃないのはお互い分かっているでしょ?それでも……私はゆうくんにこれから先の人生を前向きに進んで行ってもらいたいの。私も一歩を踏み出すから……だから……後悔はしないよ。」
「柚…分かった……ありがとう。」
「ううん。」
「着きました。」
私達が話している間に車はホテルに到着した。
「あぁ……」
ゆうくんは返事をすると開けられたドアから下りて私を見て手を差し出す。
「柚…行くぞ?」
「うん。」
私はゆうくんの手を取り車を下りた。
「悠斗……」
私達の会話や雰囲気から、察している龍也くんは心配そうな視線をゆうくんに向ける。
「龍也……今日は迎えは良い。明日来てくれ……」
「分かった……」
「それと……柚の家に俺と一緒にいる事だけ伝えておいてくれ…おばさんには後できちんと説明をするって言ってくれ……」
「あぁ…」
「じゃあ頼んだ。」
ゆうくんはそう言うと龍也くんに背を向け私の手を引きホテルのドアへと向かう。