溺愛〜ラビリンス〜
俺達は昔良く行っていた、街外れにある俺達だけの秘密基地的小高い山に向かった。
頂上は簡単な展望台があり、眼下に俺達の住む街並みを望む事ができる。昔から俺達が走りで来た場所だ。
駐車場についた頃には、少し夕暮れを感じる景色になっていた。
エンジンを止めバイクから下りる。
久しぶりの景色を見ようと、全員で一番見晴らしの良い東屋へと向かい、みんなで景色を眺める。
「変わんないな……」
健人が呟く。
「…変わんないってのは、チームの力がきちんと機能して街を先代達の頃と同じように守れているって事だ。」
凌が街並みを見下ろしながら言う。
「そうだな…。」
俺も感慨に浸りながら街並みを眺めた。
「……お前達のお陰だ。俺が総長になってからここまで俺を、チームを支えてくれて本当に感謝している。」
翔真がいきなりそんな事を言い出したから、みんなが驚いて目を見開く。
「何だ?」
当の翔真は何故みんなが驚いているか分からないようで訝しげな表情をしている。