溺愛〜ラビリンス〜
「分かりました。じゃあこちらへどうぞ。」
「じゃあ後は頼んだ。」
救急隊員の指示に返事をして、凌と爽に声をかけ、俺と健人は救急車へと向かった。
救急車のすぐ傍にいつの間にか停められたパトカーから、二人の警察官が出て来た。一応事故になるから現場検証があるのか……凌と爽に任せて俺は救急車に乗り込んだ。
救急車の中は翔真を寝かせ、体に機器を取り付けて状態を確保しながら出発の準備を進めていた。
「竹内総合病院と連絡がつきました。受け入れてくれるそうですのですぐ出発します。」
「お願いします!」
俺が頭を下げると、外にいる凌に向かって声をかけた。
「凌、竹内総合病院に行く!」
「分かった!すぐおばさんに連絡する。」
「頼む!」
俺達が会話を終えると隊員が
「では出発します!」
と言ってドアが閉めた。そしてすぐにサイレンを鳴らしながら救急車は動き出した。
翔真しっかりしてくれ!死んだりすんなよ!俺は翔真の傍らに座り、顔色の悪い翔真を見つめながら祈った。