溺愛〜ラビリンス〜
黒田 爽 side
翔真を乗せた救急車が走り出す。俺と凌はそれを無言で見送った。
「君たちは怪我人の友達で良いのかな?」
パトカーから下りてきた警察官が俺達に声をかけてくる。
「はい。」
凌が返事をすると、警察官は事務的に事情聴取を始める。
「少し話しを聞かせてもらえますか?」
「はい…」
意識がない怪我人の翔真から話しが聞けない為、事故当時一緒にいた俺達に状況を聞いて現場検証をするようだ。
「では目撃証人となりますので名前を教えて下さい。」
「秋津凌です。」
「黒田爽です。」
その後、凌が警察官の質問に答え、事故の状況を説明をする。俺はたまに相槌を打つ位で済んだ。
「…それじゃ確認の為、今聞いた事を読み上げますが、あなた達が山道を走っていると小動物……薄暗くなってきていたからはっきりしないが狸位の動物……が突然先頭を走る三浦さんのバイクの前に飛び出してきて、避けきれなかった三浦さんは急ブレーキをかけ、バンドルを切った達バイクが横転して三浦さんはバイクから投げ出され道路に叩きつけられた……という事ですね?」
「はい…」
「分かりました。」