溺愛〜ラビリンス〜

凌達の会話を聞きながら、俺は辺りを見回して異変に気づく。


「渉…ユズユズは?」


小声で尋ねると渉の瞳が揺れた。


「見つからない…」


「えっ!」


「爽…柚ちゃんはまだ悠斗と一緒にいると思うけど、翔真が事故にあった段階で、まだ家に帰って来てなかったらしい。俺達が事故を知らせた後も、おばさん達とも連絡つかないらしい。」


まだ黒王子と一緒にいるって…翔真がこんな時に何してるんだよユズユズ!…それとも何かあったのか?


「爽…兎に角、柚ちゃんを探さないとまずいだろう。おばさん達は翔真の事でいっぱいいっぱいになっているし、柚ちゃんの事は俺達が気にかけているべきだ。こんな時に悪いが親衛隊で動いてくれないか?」


「分かった…」


「俺達は翔真の手術が済むまで病院にいる。柚ちゃんが見つかったり、何か分かったらすぐ連絡してくれ。」


「あぁ…じゃあ行くよ。」


「悪いな。頼んだぞ!」


渉との話しを終え、俺はそのまま病院をあとにした。翔真の手術は気になるが、病院にはおばさんも渉達もいる。俺は自分に課せられた使命を全うしないと…





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