溺愛〜ラビリンス〜
「工藤、翔真が事故に遭って意識不明だ。家族はみんな病院に行ってる。早くユズユズにこの事を伝えたい。教えてくれ!」
俺の話しを聞いた工藤が息を飲んだ。これで居場所を教えてくれるだろうと詰め寄った。
「姫の居場所を教えてくれ!」
『…そっちの事情は分かった。だが今日はこちらにとっても譲れない日なんだ。多分、悠斗と柚姫ちゃんが二人で会うのはこれが最後なんだと思う。だから…柚姫ちゃんも悠斗の我が儘を受け入れてくれたんだと思う。』
ユズユズが黒王子の我が儘を受け入れた?それってどういう意味だ?
「…おい、それってどう言う事だ?姫をどうするつもりだ!」
嫌な予感に声が低くなる。
「悠斗の気持ちも分かってやってくれ…今までずっと一途に想ってきた姫を諦めるんだ…今日は、今日だけは邪魔をしないでやってくれ!」
「それって…黒王子が諦める代わりに今日は姫を自由にするって事か?」
怒りを押さえながら、今までで一番低い声で聞く。