溺愛〜ラビリンス〜

「…渉…」


何て説明すれば良いんだ…俺が考えあぐねていると、痺れを切らした渉が苛々した声で更に聞いてきた。


「おい爽!報告があるんじゃないのか?何なんだ!」


「…渉あのさ、工藤に電話であたったんだけど…ユズユズは黒王子とまだ一緒にいるらしい。」


「そうか取り合えず行方が分かって良かった。悠斗と一緒なら安心して大丈夫だろう。」


工藤の言葉を聞いていない渉は胸を撫でおろしているが、実際そんな事言ってられる状況じゃない。


「あのさ…」


「どうした?」


渉が訝しげに俺の次の言葉を待つ。


「工藤が言うには、今日ユズユズは黒王子と一緒にいるって本人の了解を取ったから、帰さないって言って電話切られた。」


『はぁ?どういう事だよ!』


電話越しに渉が怒鳴っているが、その言葉は俺が言いたい…と思いながら、兎に角説明をしないと…と気持ちを落ち着けた。


「はっきりと言わなかったけど、今日が最後だから二人の邪魔をするなって言われた。ユズユズも納得しているらしい。」


俺の言葉に渉が息を飲んだ。




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