溺愛〜ラビリンス〜

『…そうか。悠斗と柚ちゃんの結論が出たって事か…ハァ…』


渉はため息を吐くと黙ってしまった。少しの沈黙の後、渉が口を開く。


『…爽…悠斗の気持ちは分かるが、場合が場合だ。このままって訳にいかない。まだ翔真の意識が戻らない状態で、何があるか分からないんだ。もし何かあったら柚ちゃんは…いや悠斗だって自分の事が許せなくなる。今は翔真の傍に柚ちゃんはいるべきだ。』


渉の断固とした言葉に俺も頷く。


「あぁ…そうだな。ただ…工藤も必死みたいでスゲェ頑ななんだ。電話も話しの途中で切られた。何とかあたってみるが、時間がかかるかもしれない。」


『分かった。兎に角一刻も早く柚ちゃんを翔真の所に連れてきてくれ。爽達だけじゃ時間がかかるな…健人にも動いてもらうから連携してくれ。』


「分かった。」


渉との電話を終えて、ため息を吐く。翔真の事を思うと一刻も早くユズユズを連れて行ってあげたい。もう一度、携帯をいじり電話帳から笠原の名前を出してかける。


『はい笠原です。』




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