溺愛〜ラビリンス〜
「ウゼェんだよ!男と来てんのに男漁りするなら他所でやってくれ。俺はあんたみたいな女が嫌いなんだよ!二度と話しかけてくんな!」


言いたい事を言って早足で歩き出す。もう女は追いかけて来なかった。ホッとしかたが、すぐに気持ちは焦り出す。早く戻んないと……柚心配してんだろうな……


「柚、遅くなって悪い。」


キョロキョロ辺りを見回しながら居心地悪そうに座っていた柚に声をかけた。俺の顔を見た柚はホッとした表情をした。


「ううん大丈夫だよ。」


可哀想な事をしたと思い罪悪感を感じながらカルピスを差し出す。


「ほらカルピス。」


「ありがとう。」


カップを受け取りカルピスを一口飲んだ柚が俺のカップを見た。


「美味しい……ゆうくんは何にしたの?」


「あ?アイスコーヒーだ。」


俺達がそんな会話をしていると、あの女が席に戻って来た。俺は女の存在を無視するように柚だけを見つめていた。


女は突き刺すような視線を俺達…特に柚に向けていて、そのせいで柚がオドオドして固まっている。ったく……何て女だ。




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