溺愛〜ラビリンス〜
「翔兄ぃ?どうしたの?」
近づきながら聞いて来る。
「今朝一緒に登校できなかったからな。大丈夫だったか?」
柚は何故か顔赤くして少しうつむく。
女の声がうるさいが完全無視する。
「柚?」
柚しか視界に入れず声をかける。
「大丈夫だよ。翔兄ぃ、私そんな子供じゃないんだから!」
可愛いらしく口を尖らせる。
「子供じゃないから心配してるんだ。何事もなかったならいい…屋上行くぞ。」
まったく、柚は何にも分かっちゃいない。俺の気苦労は尽きそうにない。俺は柚の手をとり歩き出した。
柚の手を引きうるさい廊下を進み屋上へ向かう。
「柚ちゃん、今朝大丈夫だった?」
屋上につくと渉が柚に声をかけ、女が一発で堕ちそうな笑顔を柚に向ける。
「渉くん大丈夫だよ。翔兄ぃも渉くんも心配し過ぎ。」
柚は剥れて言う。