溺愛〜ラビリンス〜
車を下りて二人で手を繋ぎ遊歩道を歩く。風が吹く静かな遊歩道を静かに歩いて東屋にたどり着いた。


「柚座るか?」


「うん…」


東屋のベンチに座ると、俺は意を決して話し出した。


「柚……」


「うん?」


「前に俺は柚に返事を待つと言った。俺の気持ちはいつまでも変わらない。でも…どこかで区切りをつけなきゃならない……」


「……うん。」


「柚…柚の中で結論までいかなくても、自分の気持ちは気がついたんだろう?」


「……うん。」


「だったら、柚の気持ちをそのまま言ってくれ。どんなものでも受け留める。」


俺は真っ直ぐに柚を見た。柚は覚悟を決めたように応える。


「……ゆうくん…私、すべてまだ気持ちを整理する事ができてないから…うまく言えないけど……でも今の私の正直な気持ちを言うね?」


「あぁ…」


「私ね……ゆうくんの事は昔から好きだよ。ゆうくんは人に誤解されたりするけど、いつもとても優しい人だって私知っているから……ゆうくんのそんな所が大好きだよ。」





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